10月21日、ホームページを動かすPHPという仕組みに深刻な脆弱性が見つかり、修正版が出る前から攻撃が観測されるという事態になりました。エムズでも、お預かりしているネットワークやホームページの確認と対応に追われました。改めて感じたのは、攻撃が以前よりも速く、巧妙になっていることです。その背景の一つが、AIの悪用です。
エムズショップは、名古屋で企業のネットワークを管理する立場から、お客様をはじめ関係する皆様に向けて、今すぐできるセキュリティ対策を10回に分けてお伝えします。シリーズ「AI時代のセキュリティ対策」の1回目は、ITの知識がなくても今日から始められる、なりすまし詐欺への備えです。
少し前まで、なりすましの詐欺といえば、文面のおかしなメールが中心でした。今は、AIを使えば、短い音声から本人そっくりの声を作ったり、ビデオ通話で別人の顔を本人のように見せたりできます。社長や取引先の担当者の声は、動画や講演、電話の録音などから集められることがあります。
海外では、ビデオ会議に映った上司や同僚がすべて作り物で、担当者が多額の送金をしてしまった事例も報告されています。IPAの「情報セキュリティ10大脅威 2026」でも、組織向けに「AIの利用をめぐるサイバーリスク」が初めて選ばれ、「ビジネスメール詐欺」も引き続き入っています。
なりすましの詐欺には、よく似た型があります。
声や顔がどれだけ本物らしくても、この型に当てはまる依頼は、一度立ち止まる合図です。見た目や声で本物かどうかを見分けるのは、これからますます難しくなります。だからこそ、見分けることに頼らない仕組みが必要です。
いちばん効果があるのは、お金や情報に関わる依頼を受けたら、一度通話を切り、あらかじめ知っている番号にこちらからかけ直す、というルールです。メールやチャットで届いた依頼も同じで、そのメールに書かれた番号ではなく、名刺や社内の名簿の番号に電話して確かめます。

最後の項目は特に大切です。社長が「自分はそういう頼み方をしない」と宣言しておけば、社員は安心して確認の電話をかけられます。確認することが失礼にならない雰囲気をつくるのも、経営者の役目です。
家族の間で使われる「合言葉」は、会社でも役に立ちます。社長と経理担当者の間など、送金に関わる少人数で、本人しか知らない確認の言葉を決めておく方法です。ただし、合言葉をメールやチャットに書くと盗まれるおそれがあるので、口頭で共有し、定期的に変えるようにします。
取引先を名乗って「振込口座が変わりました」と連絡が来るケースも多くあります。請求書のPDFが本物そっくりでも、口座の変更は必ず、以前からやり取りしている担当者に電話で確かめてください。取引先の側にも「口座の変更は書面と電話の両方で連絡する」と伝えておくと、お互いに守りやすくなります。
ルールは、決めただけでは忘れられてしまいます。朝礼や会議で「最近はAIで声までまねされる」という実例を短く紹介し、なぜかけ直すのかを説明すると、社員も納得して動きやすくなります。経理や総務など、送金に関わる担当者には、年に1回でも確認の練習をしておくと安心です。
AIによって、声や顔、文面は簡単にまねされるようになりました。見た目で本物を見分けるのではなく、決まった手順で確かめることが、いちばん確実な対策です。今日のうちに、社内で「お金の依頼はかけ直す」というルールを1つ決めてみてください。
詐欺メールの入口を機械で減らす方法は、UTMでのスパムメール対策のコラムで解説しています。エムズショップでは、名古屋の企業のネットワーク管理とあわせて、社内ルールづくりのご相談もお受けしています。
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セキュリティ機器・UTM
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